2012年07月11日

クラウドは失敗してもらいたい

今やどこでもクラウド、クラウドと言われています。
私が一番最初にクラウドという言葉を聞いたのは、2008年ぐらいに品川で行われたガートナー社の講演の中です。当時はまだ、クラウドという言葉がバズワードレベルで紹介され、これから定義をしていくという感じでした。

当然ガートナー社ですので、要は「ブームはこれから自分たちが作るものである」と言っても彼らにはいいのかもしれません。ただ、単純に当時、社内へその話を持って帰った時の上司達の反応は、「クラウドって何?」でした。私は「単純にいえば、仮想化です。ネットワークの先にあるサーバーリソースを隠して、使いたい時に使えるようにして、自社データセンターがなくてもコンピュータ資源を使えるようにするようです。」と話したら、「そんなのいらない」という回答を上司から得た記憶があります。

そんな弊社も今や、国内に何箇所もデータセンターを持ち、そしてクラウドサービスもやっています。一応は名も売れているようです。例に漏れず上司たちはクラウド、クラウドと叫んでいます。

今、クラウドは旬な状態から枯れる位置に移動しようとしています。

ですが、私が言いたいことは、そんなことではありません。


クラウドのメリットやデメリットは色々と営業として語られてきています。
でも、メリットの中には耐障害性だとか、運用コストが安くなる可能性があるだとか、そういう話があがります。もちろん、パブリッククラウドからプライベートクラウド、併用等も含め。。。

正直なところ、そんな話、今となってはウソでしかないのではないかと考えています。
あらゆるメリット・デメリットを検証してもし尽くせないのですが。。。ここで2つ見てみます。

1. データセンターを持つわけではない、DRやBCPサイトを別のクラウドセンターに用意すれば業務継続性に強い

これは本当にそうでしょうか?自社内においてもネットワークの切断があれば、社内システムは使えないわけです。それがさらに社外に及ぶネットワーク切断が発生する可能性があるわけです。
今ではSalesforceは日本にもデータセンターがありますが、一時はオンライン障害が発生するまでは日本にデータセンターはありませんでした。SaaS環境の上で営業売上を分析するシステムを構築していたとして、さて大地震で海外につながるあらゆるネットワークケーブルが切断されてしまったらどうしますか?衛星回線でも使いますか?衛星回線は高価です。常時のコストは安くとも、障害があった時の代替案としてはコストがかかり過ぎます。

結局どこにセンターを置いたとしても、TCP/IPとインターネットによるネットワーク網が冗長であることがどれほど謳われたとしても、SIerレベルではそれを営業が「本当に大丈夫なんです」と話すのはウソです。「100%大丈夫」はありえません。
私が社内でよく切り出す話題に、「伊豆半島にしか本社、支社がない会社があって、弊社の東京データセンターを利用している会社があったとき、決算期に富士山が爆発して伊豆半島だけ分離して流されたらどうしますか?」とインフラ担当者に聞くと、彼らは「そんなこと起きないよ」と返します。

SIerが考えている想定はつまりはその程度なのです。
SIerにとっては伊豆半島が離れることはないし、まじめに考える必要もないし、本当に離れてしまっても自分たちが困ることがないからまじめに考えないのです。

それでもクラウドって障害に強いのでしょうか? その強さを一度定量的に示してみてくださいとSIerに聞いてみれば分かります。弊社も若干某米国のサーバーにのっているクラウドもありますが、そのサーバーまでの地面に埋め込まれた回線数を全て把握していて、1時間で全て回答できないでしょう。もしできるようであれば、弊社を利用してくださっても問題ないかもしれません。。。


2. コストが安くなるという宣伝文句に騙されていませんか?
これはつまり、逆に言えば、今のコストは高くしているのですよと言われていることと等しいです。
安くなる=そこに弊社の中で営業努力やコストカット、効率化があって安くなっているという事実はありません。
遅ればせながら参入したから営業的に、クラウドにすると他社より安くしますよという言葉は言います。が、これは営業努力の結果でしょうか?

おもしろいことにSIerの素晴らしいところは、自社の顧客の業務をシステム化し、そして業務上発生するデータはデータベースにのせることはできるのですが、自分たちの業務はデータベースに表現できないと言うのです。また、他業種は自分たちがコスト削減や効率化をシステム化することで実現しているのに、私たちはそんなことを推進しているわけではありません。

同じ仕事、同じお金を稼ぐ作業、同じ何かをデータ化する作業。何が違うのか?

言いたいことは簡単です。クラウドだからコストが安いというのはウソなのです。
どちらにしてもデータセンターは運用しなくてはいけないのです。ただ、クラウドとしておけば、顧客がサーバーを使う際のSIer内のCPU時間やメモリ、運用コストを効率良く分配できそうだと考えているだけです。ただし、当然SIerの視点では正しい考え方です。
でも、顧客の決算期などの最繁期なんて業種が同じだったらどこの会社もほぼ同じ時期でしょう?
だから、データセンターで監視しする運用コストはそんなに変わらないはずなのです。。
ちょっとだけシステム化されているだけ。要は客寄せパンダのためのコスト表が提示されているのです。


さて、話題を変えさせてください。

今や禁止用語に近くなったP2Pという技術があります。また、P2Pとは少し違いますが、SETI@homeなんていうものもあります。

これらに共通して言えることは、みんなのPCを少しずつリソースを共有して、何か大きなことをしようというものです。
P2Pでは悪いイメージが先行していますが、業務で暗号化して利用してしまえば複数の社内PCに対してデータを社員が利用しているPCのほんの50GB(最近はHDDに500Gとか積んでいるので問題ないでしょう)を利用させてもらって、社内の業務情報を複数箇所に分散させて保存させるなんてことは考えたことがありますか?

ちょっと特殊なアプリケーションですが、業務の計算を社内に出社しているコンピュータを利用してその空きCPU時間を利用させてもらって業務計算させるということは考えたことはありますか?最近はデュアルコアどころか、クアッドコア(4コア)のCPUを積んでいたりします。
SIerで開発をやるようなところではなく、WordやExcel、PPT、ネットが見れてちょっとしたアプリが使えればいいような業種であれば1コア分を使わせてもらっても影響はそんなにないと思いませんか?

自社の社員のPCをクラウドのようにディスクスペースとCPUコアを分散して使う。
その社員が日本全国にいて、10支店ぐらいあって、500人いて、毎日彼らは出社してくるわけです。閑散期も最繁期も。そして、最近はWake On LANがありますので、夜間バッチ中にリソースが足りなくなるようであれば、パケットを飛ばして社内のPCを立ち上げることもできます。
CORBAなんて技術もHadoopなんて技術もあるので、社内の全部のPCを使えばいろんなデータをバックアップしながら複数人で分散し、いろんな社員のPCのCPUタイムを使えば十分なことができます。

ただし、前提として中小企業ではこれらは難しいかもしれません。。でもクラウドなんてものをやってみようなんて言うところは案外大企業が多いです。


言ってしまえば私の話なんて極論です。でも、自社の社員のPCに暗号化されているデータと、どこかのSIerという会社が「暗号化してますよ」といっているセリフ。私だったら前者の方が安心します。
耐障害性も、社内のLANが有効で社内のPCがしっかりワイヤーで固定されていたら、火事や津波ではダメかも知れませんが、外部とのネットワークが切断されていても社内のPCだけで業務を継続できませんか?


私は本当にクラウドが顧客が本当に期待する当たり前品質を満たせるのか、甚だ疑問です。
目先のコストだけで流行にのっているだけに見えます。それはSIerや顧客共にです。
今はまだ何も起きていないから、良い方にも悪い方にもどうとでも言えます。
でも、SIerの責務はどうとでも言えることを言うことでも、100%であるかどうかを検証もせず答えられもせず、「大丈夫です。」と言うことでもないと、私は考えます。


お客様の皆様にはどうか、本当にどうやって自社の資産を守っていけばいいのか、単純にSIerの営業トークを聞くだけでなく、疑って、検証して、こういう場合はどうなのかを問い詰めて、その上で答えを出して欲しいと切に思います。

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2012/07/13 分かりにくい表現を修正しました。
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